テクニカルセッション プログラム
13:10 - 13:35 | ベイズ的最適化(Bayesian Optimization)の入門と応用-機械学習による機械学習の実験計画 佐藤 一誠 (東京大学 情報基盤センター) ベイズ的最適化とは、入力から出力を得るコストが高いブラックボックス関数を効率的に最適化する手法の総称である。高コストなブラックボックス関数に対して、少ない入力のステップでより最適化な出力を得ることを目的とする。例えば化学実験において、ある実験設定を入力として、得られた化合物の良し悪しが数値的に計測可能な場合に、より良い実験設定を探索する問題は、ベイズ的最適化の1つの応用例となる。 近年、機械学習アルゴリズムの複雑化にともない、機械学習アルゴリズムの実験設定も複雑化しており、ベイズ的最適化によって機械学習の実験を効率化する研究が注目を集めている。例えば、いくつかのアルゴリズムを複数パイプライン化して使用する場合、個々のアルゴリズム毎にモデル選択方法やハイパーパラメータ設定をするのではなく、全体の性能を考慮した実験設定の最適化が必要になる。このような状況は、実験設定と最終的に欲しい結果との間の関係はブラックボックスになっており、ベイズ的最適化の応用例となる。本発表では、ベイズ的最適化の入門及び応用例を説明する。 |
13:45 - 14:10 | Fast Optimal Transport on GPGPUs Marco Cuturi (京都大学 大学院情報学研究科) Optimal transport distances (a.k.a Wasserstein distances or Earth Mover's distances, EMD) define a geometry to compare cloud of points living in a metric space. From a computational point of view, these distances can be computed by solving an optimal transport problem, which is typically carried out using the network simplex. I will show in this brief talk how an adequate regularization of that problem can result in substantially faster computations that can then unlock several methodological approaches grounded on the optimal transport geometry, from the computation of barycenters of probability measures to that of dictionaries, PCA, or parameter estimation, all carried out using the optimal transport geometry. |
14:20 - 14:45 | GPGPUによる放射線シミュレーションの高速化 岡田 勝吾 (高エネルギー加速器研究機構 計算科学センター) がんの放射線治療を行う際、がん細胞とその周囲の正常細胞への期待される線量値を計算し、装置の設定値を決めて、治療の計画を立てる。病院では、主に医師の都合で短時間に終了することが求められているので、近似的に放射線の相互作用を扱っている。 しかし、更に精度よく線量計算を行いたいという需要も高く、モンテカルロ法を治療計画の段階で用い、高速に線量計算することが求められている。 現状では、モンテカルロ法は事後の検証などに用いられている。放射線は物質と相互作用すると、エネルギーを物質に付与したり、2次粒子を発生させたりする。 モンテカルロ法を用いるためには、それら多数の粒子を扱う必要があり、長い計算時間が必要となる。 本研究では、粒子同士は統計学的に独立である性質を生かし、GPUを用いて多数の粒子を並列処理することで、CPUと比較して200倍以上という大幅な計算時間の短縮を実現した。 現在は、モンテカルロ法を用いた治療計画の実現に向けて、更なる高速化に取り組んでいる。 また、DNAレベルの放射線損傷のシミュレーションの高速化にも並行して取り組んでいる。 放射線による細胞の局所的な損傷の割合を定量的に予言することを目標としており、がんの放射線治療のメカニズムの理解や、 長期にわたる低線量被ばくによる細胞への影響の理解といった成果が期待されている。 物理過程で生成される膨大な数の2次粒子がGPUメモリを消費することで、スレッド占有率の低下が問題であったが、 CPUで数日を要する計算をGPUにより数十分程度にまで時間を短縮することに成功したので、現時点における成果を報告する。 |
14:55 - 15:20 | GPUを用いた生体電磁環境研究におけるマルチフィジックスシミュレーション 鈴木 敬久 (首都大学東京 理工学研究科 電気電子工学専攻) 生体電磁環境研究において、数値シミュレーションを用いた生体に対する電磁界のばく露評価は、 人体が電磁界に曝されたときの安全性について議論する上で重要な技術である。近年、数値的な ばく露評価を行う上で解剖学的な数値生体モデルの高精度化により高速な計算手段が求められている。 本講演ではGPUによる数値的ばく露評価の高速化の一例として、ミリ波帯電磁界ばく露のための 電磁界-熱流体連成解析コードのGPU化と、GPUを用いることによりはじめて可能となった多パラメータ追跡 を利用した、ミリ波ばく露時の眼球組織内の障害発生予測システムついて紹介する。 |
16:20 - 16:45 | 数十枚のGPUを手軽に使えるGPU仮想化ツール:DS-CUDA 成見 哲 (電気通信大学 情報理工学部 情報・通信工学科) CUDAが普及して一枚のGPUを使うコードを書ける人が増えてきたものの、数十枚 のGPUを使いたい場合はMPIによる並列化やマシンの管理などの問題がありまだま だ敷居が高い。我々はGPUを仮想化するツールDS-CUDAを提供しており、比較的簡 単に数十枚のGPUを使ったり、故障したGPUを自動的に切り替えたり出来る。本講 演では例を交えながらツールの概要を紹介する。 |
16:55 - 17:20 | Performance meets Portability: Unified Parallel Programming for GPU and CPU Michel Müller (東京工業大学 大学院総合理工学研究科 創造エネルギー専攻) Even with powerful tools like OpenACC, porting applications to GPU still requires compromises between time-to-solution, GPU performance and CPU performance. These compromises often lead to major challenges for large applications like weather and climate models. This talk focuses on two of these challenges, whose significance is shown using real world code examples and performance results: The differing requirements on parallel task granularity as well as storage order on these two hardware architectures. Our proposed solution is a flexible preprocessor framework called “Hybrid Fortran”, which has been used to port both Dynamics and Physics of ASUCA, Japan’s current production weather model. This Open Source framework unifies the usage of OpenACC, OpenMP and CUDA while providing a way to automatically rewrite task granularity and storage order with minimal impact on code size and productivity. The feasibility of this approach is shown with several performance results. Finally, a brief view into the current development of an even more hands-off solution to GPU portability is presented. |
17:30 - 17:55 | GPUにおける核融合プラズマ乱流コードの最適化 朝比 祐一 (日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター) 高温の核融合プラズマの特徴は無衝突性であり、速度空間に 構造を持つ。そのため、核融合プラズマの閉じ込め性能劣化に繋がる プラズマ乱流の解析においては、通常の3次元流体モデルではなく、 5次元の運動論的モデルが用いられる。本講演では、差分法に基づく 核融合プラズマ乱流コードGT5DのGPU化を通じ、 高次元のステンシル計算における最適化手法について論じる。 |
18:05 - 18:30 | TSUBAME2.5を用いた大規模phase-fieldシミュレーションによる凝固組織の高精度予測 高木 知弘 (京都工芸繊維大学 機械工学系) 凝固組織は、エンジンブロックなどの鋳造製品の特性を決定し、またその後行わ れる様々な加工の初期組織となるため、その高精度な制御と予測が重要であ る。Phase-field法は凝固組織を高精度に予測可能な最も強力な手法として定着 している。一方で、計算コストが大きい問題があり、大規模計算技術の開発が必 要となっている。本発表では、TSUBAME2.5を用いた大規模phase-fieldシミュ レーションによる凝固組織予測の研究を紹介する。本研究は2011年のGordon Bell賞受賞の継続研究である。 |